女性のためのスキルアップ講座
〜NWEC国際研修に学ぶ〜
                                      川名 早苗


 


【はじめに】

2003年12月5日より13日まで、埼玉にある行政法人国立女性教育会館で実施された国際女性情報処理研修に参加しました。千歳から羽田、羽田から更に電車で2時間、6回乗り換えました。実に遠かったです。
12月の北海道はもう木の葉も落ちてすっかり冬の装いでしたが、埼玉はまだ秋。私はまた秋を味わえて嬉しく、それほど寒くは感じませんでしたが、参加者の多くは南国出身なので、オーバーを着ても震えていました。
T ヌエック(NWEC)って何? 
通称NWEC(ヌエック)は英語名称のNational Women’s Education Centreの頭文字を取ったものです。ヌエックの設立は1977年、まだ男女共同参画という言葉も無く、総理府が、婦人問題と称して政策推進本部を設置後まもなくの頃です。ヌエックについては、そのホームページをみるとセミナーや研修の開催、調査研究やウイネットキャス(WinetCASS)という入り口から、データベースからの情報提供をサービスしている事がわかります。


女性情報って何?
さて、研修参加が決まってから、女性情報システムについてレポート提出を課されました。でも、女性情報って何を指すの? ヌエックについてから講義を受けました。
情報というのは80年代からのキーワード。このキーワードは主にIT関連や、政治経済に役立つものと関連づけられて来ました。しかし、ここで再定義してみると、情報とは、五感で感知するもの、認識するもの全てを含み、それは、政治経済に関わるということだけではなく、生活全般に関わるものであるという考え方をしていくと、じつに私たちの生活は情報によって深い影響を受けていると同時に、それにより管理されていると実感します。
また、情報の自由氾濫とされている日本をはじめとして、世界をみても、情報は、権力によって管理されています。情報社会の中で、女性は、権力を持たなければ、重要な情報から遠ざけられてきました。
しかしながら、今、私達女性はどうやって役立てる情報を得るかを知っています。そして、得た情報は、生活に横たわる課題を解決するのに役立てられる事が出来ます。その大きな手段がICT(Information Communication Technology)です。
これまでの情報伝達と言うのは、人を介しての一方通行で、その人によって誰にどこまでの情報を伝えるかということが管理されてきたわけです。ICTはそのギャップを無くし、双方向の本来のコミュニケーションを容易に瞬時に行うことを可能にしたのです。


具体的に世界の女性情報の事例をあげてみますと、
1 DV、子供を産む性とその権利の問題があります。
2 統計や調査の仕方。昔ながらの戸主の意見だけが反映された場合が多く、   
そこに表れている女性に関する情報については疑問が残ります。
3 女性の活動や歴史を調査記述すること。
4 その情報が問題解決の方法や手段となれるかということ。
5 その情報が男女平等社会になるような将来へとつながるかということ。私達はまだ女性が男性と同じような割合で発言したり活躍したりする世界に住んだことはありません。私たちはどんな社会にすみたいのか。この社会のあり方について、私たちは男性ともっと話し合わなければなりません。
6 女性による芸術や表現を広く伝える情報を指します。


アジア太平洋地域の国々からの参加者
この研修には、アジア太平洋地域の23カ国から29名の女性が参加しました。
日本からは、4名が参加。 東京、九州から2名、そして私です。
私達日本人はNWECの予算で旅費滞在費等が賄われました。
海外研修生はUNESCO等の国際団体や国際基金の援助で来日していました。
わたしが応募をしたとき、その応募用紙には、当然かもしれませんが以前参加した人は対象外とするとあったので、最初で最後のチャンスとおもって参加しました。
赤道、日付変更線近くにあるヴァヌアツ、マーシャル諸島、サモアそして中央アジア地域のタジキスタン、ウズベキスタン等の他太平洋地域の国々から参加者が集まりました。


ICTトレーニング
ICTトレーニング、つまりコンピューターを使って何をしたかと言いますと、まず、ワードを使ってのニュースレターの制作の仕方でした。
後で紹介します埼玉県の女性プラザとも言える「With You埼玉」を訪問したので、そこをレポートすることと、自分たちの国の女性センターに該当する機関を紹介するのが課題でした。私は地元北海道の女性プラザと札幌市の男女共同参画センターを紹介しました。
その次に、パワーポイントを使って、プレゼンテーション、ポスターセッションを形とするために、研修と作業が始まりました。
ワードの研修は機能になれることと、ニュースレター作成のコツを習いました。研修生のレベルは様々で、雑誌出版の仕事をしている人もいれば、ほとんどワードの知識がない人もおり、様々で、教える方は大変だったと思いますが、アシスタントの人が沢山ついて、個人差を補ってくれたので、それは助かりました。
でも、もくもくと訓練に励んでいるかというと、とってもにぎやかであっちこっちで手が上がって、そして、私も含めて、英語は外国語の人が多いですから、コミュニケーションは本当に大変だったと思います。
でも、南国の人って、ひとくくりにしてはいけませんが、ほんとうに明るくて、元気を作りだすムードメーカーが多かったです。


「With You さいたま」
研修の一つの視察として、埼玉県男女共同参画推進センター 、愛称「With You さいたま」を視察しました。平成14年オープンと言いますから、札幌市のセンターと、同じですね。
この「With You さいたま」は、機能としては、情報の収集と提供、相談、自主活動の支援、学習、研修、調査、研究と幅広いです。そして、施設であるビルも役所のビルというより、銀行が1階2階になっているビルの3階4階に設けられていて、例えば、駆け込み相談に来てもカモフラジュできて目立たないという利点があるそうです。施設も視聴覚セミナー室、交流サロン、和室、運動ができる心と体の実習室と名付けられた部屋等の他、保育室、授乳室、トイレも人工肛門や人口膀胱等を必要をしている人達の為のオストメイト対応の設備が整っていました。開館日は年末年始を除く毎日です。
私たちが訪れた昨年は事業として、「一旗揚げよう大作戦」と題した女性起業支援講座や男性を対象とした「楽しく生きる男の家事学のすすめ」という家事を分担して30年共稼ぎ夫婦をしてきた方の講座で、男性も多くセンターの活動に参加してほしいという隠れたねらいの基に設けられた講座、男女共同参画フォーラムでの講演や講談や分科会、ワークショプ等を開いていました。
関連図書、行政資料、民間団体やグループ等が発行する資料、雑誌、新聞、ビデオの他インターネットも利用できます。
研修生はとにかく時間を見つけてメールのチェックをしていました。今、日本ではただでインターネットを利用できる場所が増えました。ですから、通信ができるということの有難みや便利に対して、あまり敏感で無くなってきているかもしれません。
と言うのも、例えば、タジキスタンでは、インターネットをするのに1時間100円から300円位かかります。それは、平均年収2万円程度のタジキスタンの人々にとって、とっても日常の通信手段とはなりえない高額なものです。
「With Youさいたま」の施設内の廊下には、とても目を引くデザインのオブジェが多く、役所の施設という従来の堅い感じより、利用者の心を和ませ、楽しませる雰囲気があるような気がしました。男女平等とかジェンダーとか聞くと、アレルギー反応を示す人もいる中で、こうした美術や芸術的作品が人に与える有形無形の効果というのは、某カードのテレビコマーシャルではありませんが、お金では計れない物があります。


U 参加者のプレゼンテーションから


○アフガニスタン  (女性省 国際企画長)
24年間戦禍にある。250万人の人が戦死し、200万人が未亡人となり、150万人の孤児と難民が生まれ、国内外にちりぢりとなりました。こうしてアフガンの国は崩壊していき、タリバン政権が勢力を持ち、女性に対する制圧が強まったのです。
タリバン政権下では、女性は大学は勿論のこと、学校へいくことは許されませんでした。それまで仕事を持っていた女性は職場を追われ、女性だけで家の外に外出することは許されず、外出が許されるのは、息子や夫、兄や父等の家族の男性との同伴の時だけです。そして、外出の時はベールをかぶらなくてはいけませんでした。もしこの規則に従わなかったら、その女性は人前で殴られるなどの罰を受けました。タリバン政権下では、150万人の未亡人が世帯主として、家の中に閉じこもりました。同時に、1,957,414人の人がパキスタンやイラン等の外国へと逃れました。1979年からずっと、人口調査は行われていませんし、社会経済についての調査も行われていません。
アフガンの女性達が直面している課題は、次のようなものがあります。
1 23年間の戦争からの社会復興。
2 貧困からの脱却
3 39歳以下の年齢層が国民の80%以上であること。
4 その多くは田舎に住んで農業をしているが、農業も地球温暖化のため土地が砂漠化し、出来なくなっている。
5 女性の為の学校がない。
6 大学も職業訓練の学校もない。
7 女性を見てくれる病院もなく、市の病院は限られ、妊婦などは、そこへ行き着く前に死ぬこともある。
8 そして、資金がないため、読み書きを教える学校も建てられない。
こうした社会のニーズにと共にチャレンジしています。
ご存じのように2001年9月22日、あの9.11の直後、タリバンは崩壊しました。そして、女性省が誕生しました。女性省が目指すものは、男女平等と女性の人権の達成に関わるあらゆる面への支援です。
しかしながら、そうした平等権があるということを女性に解ってもらうためにまずしなければならないのは、女性の識字率をあげること、読み書きが出来るようになってもらうことです。
<独身女性>
アフガンは戦争にあけくれた23年間の間、何と2万人もの独身女性を生み出した世界で最初の国家です。
アフガンは伝統的に約5%の女性が結婚しません。それは、彼女達は家族を支える為に働かなくてはならず、他に収入の術が無いからです。
未亡人は、夫の家族の誰かと再婚しなくてはなりません。例えば、夫の兄とか弟とかその家族の他の男性と再婚しなくてはいけないのです。教育を受けた女性は、もし子供がいたり、経済的にこまらなかったら、再婚しない場合もあります。というのは、再婚相手の男性が子供を可愛がらないかもしれないからです。
未亡人の多くは教育を受ける機会に恵まれず、また、様々な問題を抱えています。
彼女達は働いて子供たちを育てなければなりません。彼女達は、家の中でできる仕事、たとえば、カーペットやじゅうたんを作る仕事をします。また、読み書きの勉強で知識を増やしたり、技術を身につける訓練のクラスを受けます。
<社会保障>
こうした独身女性や未亡人を対象とした社会保障はあまりありません。それで、彼女達を助けているのが、外国や様々な組織から差し伸べられる援助や支援なのです。
例えば、日本のJICAから何と約300名もの人達が今アフガンで援助活動を行っていると、彼女は言っていましたが、大変力になってくれていると感謝していました。
 アフガンで女性が独身であったり、未亡人でいたりするのは、大変難しいことです。


○インド  (司書学講師)
インドでは、少なくとも1世紀半以上も前から、男女平等の哲理は取り上げられ、19世紀と20世紀は、女性運動、未亡人の再婚問題、サティと呼ばれる妻が夫の死体と共に生きながら火葬にされた慣習がありましたがそうした社会的問題、そして女性の教育、世界の動向と重なる女性解放の問題等の様々な問題に焦点があてられました。男女平等が原則として議会の承認を得たのは1931年のことでした。インドの女性運動は常に政府との連携上にあり、互いに影響を与えながら進んできました。
人口:10億4970万118人
平均年齢:24.1歳
<インドの女性が独身を続ける理由>
1 個人的理由
・キャリアの維持
・経済基盤の維持
・長女なので家族を養う
・結婚を諦めた
・理想の相手を追い求めている
・両親からの精神的圧迫
・若いころの家族からの妨害
・高い教育を受けたために相応しい相手が見つからない
・個人の生活レベルを落とす妥協したくない
・未亡人
2 その他の理由
・両親が稼ぎ手である娘を手放さない
・カソリック、パルシと呼ばれるゾロアスター教の人達に多い
・カソリックの女性はキャリア志向の人が多い
・パルシ教の女性は他の宗教の人と結婚すると教団から仲間外れになる。小さ  
な教団社会のなかでは相手を見つけるのは難しい。グジャラート、マハラジ 
ャ等の王族や、イスラム教徒の女性には独身女性は少ない。
<独身女性の現状>
インドの他の地域に比べ、ムンバイ、デリ、カルカッタといった都市に独身女性が多く見られる。中でもムンバイには特に多い。
理由は、仕事が多くあり、治安がいい、他人の目がうるさくない、から。独身女性は両  
親の財産を受け継げる。子供の養子縁組みができる。他の人と同じく平等の権利が保障 
されている。
・独身女性は未亡人より経済的に自立している。
・女性は教育を受けていない人が多いため、自分たちの権利に目覚めていない。
・家父長制の社会では、まだまだ男性に頼る女性が多い。
 ・社会の仕組みが女性を自立させようとしない。
・独身女性は世間から何か問題があるのではないかと疑いの目を向けられる
・家族から支えられている
・殆どが30歳代から40歳代
・独身女性はフェミニストと考えられている。
・職場のセクハラ
・既婚の兄弟姉妹の家族を支える為
<独身女性が疑問に思っていること>
・独身でいることは選べる権利なのか
・独身でいたり、キャリアを積むより、結婚して子供を持ったほうかいいのか。
・男性が持っているものを自分も望むなんてやりすぎか。妥協すべきなのか。
  ※こうした疑問は女性に重いプレッシャーやストレスとなってのしかかり、
鬱の生活状態に直面する。
<解決策>
・こうした女性同士のネットワーク作り
・権利と地位の確立
・政府からの支援体制の確立
・NGOからの支援
・経済的支援計画の実施
<現在の傾向>
・それでも増える独身願望の女性
・自分たちの権利に目覚める女性が増えている
・独身女性は色々な職種にチャレンジできる
・大都市は就職の機会が多いので独身女性が多い
・大都市の社会は安全性が高い


○ベトナム(女性労働とジェンダー研究センター研究員)
人口は7900万人。うち50.8%が女性。
1999年の調査で、530万人が読み書きが不自由で、そのうち69%が女性です。特に山岳地帯に住むホミやバマと呼ばれる少数民族の人達が何の言語も読み書き出来ず、ベトナム語を話すことも出来ません。
1986年のドイモイ政策(社会体制を維持しつつ、経済の市場化、対外開放、政治、外交、思想等の分野で改革をはかろうとする政策)が始まった当初は、入学率が下がり、学校を途中で止めたため、教育を受けない子供の数が増えました。これではいけないということで、政府と有志の努力で、1995年には入学率を引き上げることに成功し、90%台の識字率となったが、それは、小学校レベルの教育によるもので、2000年の調査によると、中学校レベルで女性、男性が60%、高校で、女性、男性約30%という結果がでています。
だが、事情が日本と異なるのは、入学率と卒業率とはまた別の話で、小学校、中学校とも20%台で、高校では女性6%、男性7%。大きな原因は貧困にあるが、もう一つの要因は、男女の差、ジェンダーギャップです。
男女の差は、日本と同様に同じ教育を受けたとしても、男性の方が、高収入の仕事につける可能性が高いため、限られた収入は必然的に息子に投資されるのです。この識字率の問題は、居住地域や民族により、更にその差が浮き彫りになります。特に山岳部にすむ女性達は読み書きは勿論、ベトナム語を話すことにも困難があります。つまり、そこには情報が隔離されているということなのです。
(独身女性というのは、未亡人、離婚者、別居者、そして未婚の人を指します)
理由は異なりますが、独身女性の率は男性の独身の4倍です。
長期に渡る戦禍のもと、田舎では女性も武器を持って戦った。病気や栄養不足のため、結婚に適さないとされる女性達がいる。
恋人が前線に行ったまま、終戦になっても戻ってこなかったため結婚できなかった人達は、適齢期が過ぎてしまうと、自分たちにつりあう年齢の男性を見つけるのは難しい。
もう一つの理由は都市化によるものです。村の男性達は職探しに都会にでていってしまい、村には男性がすこししかいなくなってしまった。
30ー49歳の独身女性の5%がコミューン(生活共同体)に属し、3分の1に子供がいる。どの独身女性も子供が欲しいという。
多くの独身女性が、RTI(呼吸器感染症),骨盤の炎症、月経に関わる病気等の婦人病に悩まされている。STD(性病),HIV/AIDS,コンドームの知識を持つ人は非常に少ない。(これはバングラデッシュの人も同じような悩みを打ち明けてくれました。彼女はヒンズー教徒ですが、男性が管理するので、女性からは避妊について言えない。それで、ピルをのむ人がいるが、ピルが入手できるのは限られた人達です。)
経済では、特に子供を抱える独身女性は厳しい状況にある。独身女性達の答えは地域の援助が必要ということだった。しかし、家族によっては、こうしたことは家族の問題で、社会が関わる事ではないと答えた。独身女性の多くは地域からも家族からも手をさし述べられたり、温かい気持ちを寄せられることもない。そのため、劣等感を持ち、自分に自信が持てなくなってしまうのです。

【おわりに】
後半の本講義では、プレゼンテーションのコツと実践トレーニングのワークショップを行いました。限られた時間内ではありましたが、アイディアに富んだ楽しい作品が発表されました。

 

 




 2007年

 ・第8回総会
 ・女性のつどい2007inきたみ

 2006年


 ・第7回総会

 2005年


 ・第6回総会
 
NWEC国際研修
 
 2004年


 ・第5回総会
 ・公開講演会
   市民活動の場から議会活動の場へ

 2003年


 ・相内眞子さん講演録
 ・有道出人さん講演録
 ・第4回総会


 2002年

 ・第3回総会


 2001年

  ・ワークショップ報告
  ・長谷川静、
   座談会「堀道政の検証」での発言
  ・第2回総会
  ・沖縄女性と交流
  ・平成13年度男女共同参画社会づくりに
   向けての全国会議 報告


 2000年


  ・P・P(パンツ・プロジェクト)報告
  ・TBSプロジェクト開始
  ・TBSプロジェクト速報
  ・女性たちに「総選挙、どうしますか? 」
   と問いかけるチラシ配布完了
  ・TBSプロジェクト報告
  ・国連・女性2000年会議報告
  ・第1回総会開催
  ・エンパワーメント講座
   「パソコンでパワーアップ」
  ・第1回AWN総会 &
   エンパワーメント講座報告
  ・日本女性会議2000津 報告